化学物質に関わる法令や規則について
労働安全衛生法のもと、労働者が化学物質による健康障害を受けることを予防する目的で特定化学物質障害予防規則(特化則)、有機溶剤中毒予防規則(有機則)が制定され様々な規制が行われています。
特定化学物質は下記の健康障害を発生させる(可能性が高い)物質として定められたものであり、大別すると 微量の曝露でがん等の慢性・遅発性障害を引き起こす物質(第1類物質、第2類物質)と、 大量漏洩により急性障害を引き起こす物質(第3類物質、第2類物質のうち特定第2類物質) とがあります。(下の表)
※これらの化学物質は、すべてが分解処理できるものとは限りません。
分類や濃度による、さまざまな規制
特定化学物質 全般に共通すること
- 製造もしくは取り扱う作業場の床を不浸透性の材料で造ること
- 関係者以外の立ち入りを禁止すること
- 名称や注意事項を表示した堅固な容器・包装を用い、保管場所を特定し、空き容器の管理をすること
- 特定化学物質作業主任者を選定して労働者の指揮や装置の点検などに当たらせること
など
また第1類物質と第2類物質に共通する規制として
- 作業場での喫煙飲食の禁止
- 定期的(6ヶ月以内ごとに1回)な空気中濃度の測定
- 休憩室を作業場以外の場所に設置
- 洗浄洗濯設備の設置
などが義務づけられています。
さらに第1類物質と第2類物質のうち、がん原性物質またはその疑いのある物質については
特別管理物質として、
- 名称、注意事項などの掲示
- 空気中濃度の測定(6か月に1回)
- 労働者の作業や健康診断の記録を30年間保存すること
- 事業廃止の際にはこれらの書類を所轄労働基準監督署長に提出すること
などが求められています。
化学物質の表示・文章交付制度
情報伝達義務
原則、ラベル作成義務と安全データシート(SDS)の交付義務があります。
GHS・・ 化学品の危険有害性を世界的に統一された一定の基準に従って分類し、絵表示等を用いて分かりやすく表示し、その結果をラベルやSDS(Safety Data Sheet:安全データシート)に反映させ、災害防止及び人の健康や環境の保護に役立てようとするものです。
ラベル表示例
ラベルには標章(絵表示)および以下の事項を明記します。 名称/成分/人体に及ぼす作用/貯蔵または取り扱い上の注意/ 表示する者の氏名、住所、電話番号/注意喚起語/安定性および反応性